書評

140 昭和の「暗さ」を反照する司馬文学

――福間良明『司馬遼太郎の時代』(中公新書2022)を読む―― 司馬遼太郎が没してはや30年近く経つ。国民作家と呼ばれて今なお人気は衰えない。司馬文学がどのようにして生まれ、なぜ国民作家と言われるほどになったのか。その誕生と受容のあり方、そして行く末…

133 古建築の印象の理由を建築学的に読み解く――海野聡『奈良で学ぶ寺院建築入門』(集英社新書2022年)

奈良県には国宝の建造物が64件あり、全国228件の28%を占めてトップである。古代を中心に中世、近世の寺院建築の宝庫であり、この分野に関心のある者にとっては非常に恵まれた土地である。古寺めぐりの楽しみは仏像鑑賞とともに古趣あふれる木造建築にまみえ…