2022-01-01から1年間の記事一覧

133 古建築の印象の理由を建築学的に読み解く――海野聡『奈良で学ぶ寺院建築入門』(集英社新書2022年)

奈良県には国宝の建造物が64件あり、全国228件の28%を占めてトップである。古代を中心に中世、近世の寺院建築の宝庫であり、この分野に関心のある者にとっては非常に恵まれた土地である。古寺めぐりの楽しみは仏像鑑賞とともに古趣あふれる木造建築にまみえ…

132 興福寺東金堂院の北面回廊

興福寺東金堂院の北面回廊発掘調査地、右奥の塔は五重塔。(現説資料より) 興福寺は『興福寺境内整備構想』(1998年)に基づき、寺観の復元・整備を進める。これにともない、奈良文化財研究所は、中金堂院や南大門跡などの発掘調査を継続して行っており、こ…

号外 奈良をもっと楽しむ講座 8月12日(金)

演題:風雅と酔い泣きの歌人・大伴旅人 ~「長屋王の変」から読み解く旅人の歌~ 新元号「令和」の出典である詩の作者、大伴旅人。古代名門貴族の長として大納言まで昇進した彼は、『万葉集』屈指の歌人でした。亡き妻への挽歌、望郷歌、讃酒歌、梅花の歌な…

131 春日若宮の誕生

春日若宮おん祭の祭神である若宮が現在地に鎮座されたのは保延元年(1135)とされ、おん祭はその翌年に始まっている。おん祭の創始の経緯は前回の「奈良歴史漫歩130」で書いた。新任の国司を無力化する戦いに勝利した興福寺が、勝利を祈願した若宮に感謝して…

号外 奈良の語り部講座 2月20日(日)

演題「棚田嘉十郎は、なぜ宮跡保存の功労者になれたのか」~史料から読み解く明治・大正の平城宮跡保存運動の深層~講師:「奈良歴史漫歩」の筆者社会的地位や財産もない植木職人の棚田嘉十郎が、なぜ平城宮跡保存のキーマンになれたのでしょうか。それは時…