2024-01-01から1年間の記事一覧

140 昭和の「暗さ」を反照する司馬文学

――福間良明『司馬遼太郎の時代』(中公新書2022)を読む―― 司馬遼太郎が没してはや30年近く経つ。国民作家と呼ばれて今なお人気は衰えない。司馬文学がどのようにして生まれ、なぜ国民作家と言われるほどになったのか。その誕生と受容のあり方、そして行く末…

番外 『奈良歴史漫歩Ⅱ』発行しました

和装本『奈良歴史漫歩Ⅱ』を発行しました。ブログ「奈良歴史漫歩」から7編を収録。元のテキストに補筆・修正を加えています。 目次「今日降る雪のいやしけ吉事」――それからの家持風雅と酔い泣きの歌人・大伴旅人有馬皇子自傷歌の作者は誰か安康天皇陵の謎春日…

139 時代を翔ける聖なるアイドル~中将姫説話と當麻曼荼羅~

當麻寺 聖衆来迎練供養会式 當麻寺の創建 練供養会式で名高い二上山當麻寺(真言宗・浄土宗 奈良県葛城市当麻)の創建縁起が文献にはじめて見えるのは、建久3年(1192)の『建久御巡礼記』においてである。聖徳太子の異母弟・麻呂子親王によって創建された前…